ゼラチンとは

ゼラチンとは、主に牛や豚を原料にして生成されるコラーゲンの一種。ゼリーや煮こごりなど、私たちの日常の食生活においてもゼラチンは広く活用されています。ユーグレナサプリメントに配合されているゼラチンは、サプリメントを覆うソフトカプセルの原料として利用されています。ゼラチンの原料であるコラーゲンは、もともと人間の体内にも存在しているタンパク質であることからも、ゼラチンを摂取することによる健康被害のリスクはほとんどないと考えて良いでしょう。ここでは、ゼラチンの特徴や用途、安全性などについて詳しく解説します。

ゼラチンの原料と歴史

今や多くの食品でおなじみのゼラチン。ここでは、ゼラチンの原料と歴史について詳しく見てみましょう。[注1]

ゼラチンはコラーゲンが水に溶けた物質

ゼラチンの原料は、タンパク質の一種であるコラーゲンです。コラーゲンは常温では水に溶けませんが、長時間にわたって加熱することで、水に溶ける性質へと変わります。水に溶けた後のコラーゲンの姿が、ゼラチン。そのため、コラーゲンを含む原料であれば、理論的にはゼラチンを抽出することが可能です。

ただし、今や食品だけではなくさまざまな用途に使われているゼラチンなので、安定的な生産量を維持する必要があります。そこで選ばれた原料が、動物。現在、世界中で使用されているゼラチンの多くは、豚や牛などの皮や骨を利用して作られているのです。

ゼラチンは5000年前から利用されていた

ゼラチンと人類とのかかわりは非常に古く、すでに5000年前には、接着剤の一種として利用されていたことが判明しています。エジプトのピラミッドから出土した調度品や工芸品、棺などにも、ゼラチンが接着剤として利用されていた形跡が確認されています。

ちなみに、日本でゼラチンが利用されるようになったのは飛鳥時代のこと。推古天皇の時代に、墨の原料の1つとして大陸から伝来したのが、日本におけるゼラチンの始まりとされています。

1700年ごろから、ヨーロッパではゼラチンの工業的な生産がスタート。1800年代に入ると、ゼラチンは食用として本格的に利用されるようになりました。

詳細は後ほど解説しますが、現在、ゼラチンは食用だけではなく、工業製品や医薬品、化粧用品、サプリメントなど、多彩な分野で利用されています。今や、ゼラチンは人類にとって欠かせない存在となっているのです。

サプリメントにおけるゼラチンの役割

ユーグレナサプリメントをはじめ、さまざまなサプリメントの原材料に、ゼラチンの名を見かけることがあります。一般的にはゼリーの原料などで知られているゼラチン。サプリメントとゼラチンのイメージがつながりにくい人もいるかもしれませんね。[注2]

サプリメントの原料としてのゼラチンは、サプリメントの内容物ではなく、それを覆うカプセルに多く利用されています。 カプセルにはソフトカプセルとハードカプセルの2タイプがありますが、そのどちらの場合にもゼラチンは使用されています。

なお、ソフトカプセルにはいくつかの種類がありますが、「ロータリーダイカプセル」と「シームレスカプセル」の2つに大別されます。参考までに、それぞれのタイプの特徴を確認しておきましょう。

ロータリーダイカプセル

私たちがよく目にする一般的なソフトカプセルが、ロータリーダイカプセル。形状はラウンド(球形)、オーバル(楕円形)、オブロング(細長楕円形)などのバリエーションがあり、液状の内容物をシート状のゼラチンで包み、金型によって打ち抜いて作られたものです。

シームレスカプセル

直径1~10mm程度の、小粒で球形をしたソフトカプセル。シームレス、つまり「つなぎ目がない」ことが外見上の特徴。界面(表面)張力を利用し、液状のゼラチンで内容物を包み込むことで作られており、その直径は数ミリ程度と、とても小さいカプセルです。

サプリメント以外での用途

ゼラチンは、サプリメントの原料以外にも、さまざまな用途で利用されています。そのうち、代表的なものをご紹介します。

食品の材料

 

ゼリーや煮こごりにゼラチンが利用されていることは広く知られていますね。その他にも、ソーセージやハム、サラミ、グミ、ヨーグルト、チーズ、コンビニ総菜など、さまざまな食品の原料としてゼラチンが利用されています。

工業製品

 

古くから接着剤として利用されてきたゼラチン。その強力な接着力は、現代でも様々な工業製品の製造工程で利用されています。建築分野ではフローリングの固定などに活用され、弦楽器や弓の製造にもゼラチンが利用されることがあります。

医療分野

ゼラチンの一種である医療用コラーゲンが、人工骨や人工皮膚、iPS細胞関連などに利用されています[注3]。また、ゼラチンには止血作用があることから、手術の際に利用されることもあります。

絵画

日本画における絵具の固定剤として、古くから膠(にかわ)が利用されてきました。膠はゼラチンの一種で、動物の骨や皮から抽出した物質です。

スポーツ

アーティスティックスイミング(シンクロナイズドスイミング)の選手たちは、競技中に頭髪を固定する目的でゼラチンを利用することがあります。水に溶けにくいというゼラチンの性質を応用した活用方法ですね。

ゼラチンの安全性

前述の通り、ゼラチンの原料はコラーゲンです。ほとんどのゼラチンは牛や豚から抽出したコラーゲンを使って作られているのですが、もともと、コラーゲンは私たち人間の体にも存在するタンパク質。そのため、人間がゼラチンを摂取しても、健康被害がほとんどないという考えが一般的です(※)。

しかし、ゼラチンによって食物アレルギーが引き起こされるという例も報告されています。日本ではゼラチンを含む食品について、その旨を記載することが義務付けられているので、ゼラチンアレルギーのある方は原材料表示を確認するようにしましょう。

また、ゼラチン自体には特筆すべき有害性がないものの、ゼラチンに含まれる他の成分について、有害性が潜んでいる可能性があると指摘されたことがあります。その危険性というのが「狂牛病への感染リスク」と「クロム含有による健康被害のリスク」です。

狂牛病への感染リスク

かつて、牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病が世界的な話題となったことがありました。感染した牛のショッキングな映像を見て、当時、牛肉の摂取に過剰な拒否反応を示した人も少なくありません。これに関連し、牛を原料とするゼラチンにも拒否反応を示す動きがあったのです。

狂牛病が人間に感染するリスクはゼロではありませんが、極めてゼロに近い確率であると言われています。具体的な感染リスクの割合は、日本の全人口に対して0.1~0.9人。

しかも、内閣府や厚生労働省が主導して狂牛病対策が万全に行なわれているため、国内ではゼラチンの摂取による狂牛病感染リスクは、ほぼないと考えて良いでしょう。

以下、内閣府食品安全委員会のコメントを引用します。[注4]

ゼラチンは、主に牛の骨や皮などを原料にして製造されます。これらのゼラチンや原料については、これまでの実験から、骨や皮そのものにBSEの感染性は認められていないことに加え、

  1. 我が国では、特定部位(頭部、せき髄、回腸遠位部)の使用の禁止及び交差汚染の防止など、原料に特定部位が含まれないよう対策が講じられていること
  2. BSE発生国からのゼラチンやその原料の輸入禁止等の措置が講じられていることなどによって、安全性が確保されています。さらに、
  3. せき柱(いわゆる背骨)に含まれる背根神経節に、せき髄と同程度のリスクがあるため、平成16年2月16日から、BSE発生国のせき柱(尾椎等を除く)の使用が禁止され、ゼラチンの原料としても利用できなくなることによって、安全性が一層確保されることになります。

なお、厚生労働省が行った平成15年8月の実態調査によれば、牛骨ゼラチンに国産のせき柱を使用する実態はないとの結果が得られています。

引用元:内閣府食品安全委員会「Q&A詳細 ゼラチンの安全性について」

クロム含有による健康被害リスク

平成24年、中国において、同国の基準量を超えるクロムを含むゼラチンカプセルが発見されました。

クロムは一般的な食品中にも含まれるミネラルの一種で、人間の健康を維持するうえで不可欠な物質。その一方で、クロムには発がん性や薬との相互作用があり、その過剰摂取は健康被害をもたらす恐れがあるとされています。

この一件を受け、厚生労働省は、国内でゼラチンを扱う業者に対して注意喚起を促しています。

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