ジホモγ-リノレン酸は、必須脂肪酸のひとつであり、抗炎症作用によってアトピー性皮膚炎の改善に効果が見られることから注目を集めています。ユーグレナにも含まれているジホモγ-リノレン酸ですが、いったいどのような仕組みで効果を発揮するのでしょうか。ジホモγ-リノレン酸のもとになっているγ-リノレン酸の効果とあわせて見ていきましょう。
ジホモγ-リノレン酸は、不飽和脂肪酸のω-6脂肪酸のひとつで、γ-リノレン酸が変換され、分子の一部が伸びることによってできあがります。もとになっているγ-リノレン酸は、α(アルファ)、β(ベータ)ときて、3番目にあたるγ(ガンマ)がついているところからもわかるように、3番目に発見されたリノレン酸です。アメリカ合衆国の医学者である、デイヴィッド・ホロビンのアトピー性皮膚炎に対する治療効果の研究によって広く知られるようになりました。人の体内では、同じω-6脂肪酸のリノール酸が代謝することによりγ-リノレン酸ができ、さらに分子の鎖が伸びることによってジホモγ-リノレン酸へと変化します。
さらに、このジホモγ-リノレン酸は、代謝の過程でトロンボキサンやプロスタノイドという物質を生成します。これらの物質はいずれも炎症を抑える効果があります。一方で、ジホモγ-リノレン酸はその後の代謝の過程でアラキドン酸に変換されます。アラキドン酸はジホモγ-リノレン酸とは逆に、炎症を誘発することが知られています。ジホモγ-リノレン酸の抗炎症効果を発揮させるためには、γ-リノレン酸やジホモγ-リノレン酸のかたちで摂取するようにし、リノール酸→γ-リノレン酸→ジホモγ-リノレン酸→アラキドン酸という代謝経路を経るようなω-6脂肪酸を過剰に摂取しないようにする必要があります。
ジホモγ-リノレン酸は、人が自分では作り出すことができない、必須脂肪酸のひとつです。しかし、必須脂肪酸だからというだけでなく、積極的にジホモγ-リノレン酸や、その前駆体であるγ-リノレン酸を摂ることにより、様々な効果が期待できます。
ジホモγ-リノレン酸の抗炎症作用の代表的なものとして、アトピー性皮膚炎の改善が挙げられます。アトピー性皮膚炎で皮膚に炎症を起きるのは、プロスタグランジンの一種が原因とされています。この炎症性のプロスタグランジンに対して、摂取したγ-リノレン酸が活性を抑えることで、炎症が抑制されると考えられています。ヨーロッパ圏では、γ-リノレン酸は薬としてアトピー性皮膚炎の患者に処方されています。
さらに、関節が炎症を起こして痛み、変形する関節リウマチの予防や治療にも効果が期待されており、研究が進められています。
イライラやだるさ、むくみや頭痛といった、月経前症候群(PMS)に悩む女性の多くは、体内のリノール酸濃度は高くても、その代謝物であるγ-リノレン酸は濃度が低い状態であると言われています。この影響から、脳下垂体から分泌されるホルモンであるプロラクチンの濃度が高まり、PMSを引き起こすと考えられます。2001年に行われた日清製油(株)研究所による実験では、γ-リノレン酸を投与した人と、対照群としてダミーのカプセルを投与した人では、γ-リノレン酸を投与した人に改善効果が認められました。特に、下腹部の張りや、頭痛、食欲増進に対しては有意な改善が現れており、γ-リノレン酸のPMSに対する効果が認められたと言えます。
他にも、抗血栓症効果や、血圧・コレステロール値・血糖値に対する効果も示唆されており、私たちの健康を支えてくれる大切な成分であることがわかります。
参考資料
残念ながら、ジホモγ-リノレン酸が多く含まれる食品は、あまり身近なものではありません。代表的なものを2つ挙げてみましょう。
あまり耳慣れない種類の油ですが、海外では健康に良い油としてお肌のお手入れなどに使われてきました。ツキミソウはマツヨイグサ属の園芸品種で、メキシコ原産の植物です。荒れ地などで真っ先に繁殖する、とても生命力の強い植物としても知られています。
日本では、甘酸っぱい味わいのスイーツやお酒として知られているカシスですが、その種子を絞った油にもジホモγ-リノレン酸は多く含まれます。
これらの油を入手するのは簡単ではありません。また、体に良いからといって大量に摂取するのは、脂質の適正量から考えてもおすすめできません。近年注目度が高まっているユーグレナにもジホモγ-リノレン酸が含まれていますので、バランスよく様々な栄養素を摂るためにも、有効に活用していきたいですね。
当サイト(保存版!ユーグレナ(ミドリムシ)まとめサイト)は、私たち「ユーグレナまとめ委員会」が運営する、ユーグレナに関する情報をわかりやすくまとめたサイトです。当サイトには、できるかぎり最新の、信頼性の高い情報を掲載するように心掛けております。ただし、その内容の正確性・安全性について完全に保証できるものではありません。掲載情報の活用については自己責任でお願いいたします。万が一、当サイトの情報によって何らかの損害が発生した場合には、各種専門機関にご相談ください。
ユーグレナまとめ委員会について