水中を自在に泳ぎ回り、さらに光合成も行う微生物「ユーグレナ(和名:ミドリムシ)」は、培養が簡単な上に59種類もの栄養分を含むとして、食糧難が懸念される人類の未来を救う「完全栄養食」とも言われています。また、数多くの大学や医療機関でユーグレナの有用性が研究され、マウスなどを使った動物実験からは便通改善や免疫力の活性、様々な疾病症の予防効果があるというデータも得られています。
そう考えると、ユーグレナは確かに人類にとって有益な微生物なのでしょう。
しかし、ここで気になるのは、そのようなユーグレナを使用しているサプリメントにも、同様の効果があるのかということです。
世の中には数多くのユーグレナサプリが販売されていますが、果たしてそれらの全てに、使用者が納得できるほどの効果があるのでしょうか。
ここではむしろ「ユーグレナは効かない」と感じている人の口コミなどを参考にして、“本当に効果があるユーグレナサプリ”とはどういうものなのか、また“ユーグレナサプリの効果を得る為に必要なこと”は何なのかについて検証していきましょう。
ユーグレナサプリに関して、「効果がない」と感じた人の口コミを見てみると、そこにはいくつかの共通点があると分かります。
そこで、「効果がある」とする人の口コミ等とも比較しながら、どうして「ユーグレナサプリが効かないのか」という理由について考えてみましょう。
そもそも、栄養補助を目的とした“健康食品”である「サプリメント」と、特定の症状などの“治療”が目的の「薬」では、その性質が根本的に異なります。
ユーグレナサプリは決して「やせ薬」ではないのです。確かに、ユーグレナに含まれている「パラミロン」は、腸内の脂肪や老廃物を吸着して、便として排出することをサポートするとされています。ですが、パラミロンは直接的に体へ作用して、脂肪を燃やす成分ではありません。
しかし口コミなどを見ていると、いかにもユーグレナサプリがそれだけでダイエットに多大な効果を及ぼすという、“強い期待”を抱いている人が少なくないと分かります。
確かな期待はモチベーションになりますが、大きすぎる期待はなかなか努力が実らないという焦りにもつながるので、注意しましょう。
ユーグレナサプリが健康を補助する為に働くものであるからこそ、最も大切なのはそもそも「使用者のライフスタイル」です。
例えば、仮にユーグレナの作用によって便通が改善し、普段に「100g」ずつ食べていた脂肪が全て便として排泄されたとしても、摂取する脂肪の量を「100g→200g」に増やしてしまえば、結局は体内に最初と同じく「100g」の脂肪が残ってしまいます。
「天は自ら助くる者を助く」という言葉がありますが、どれだけユーグレナサプリが痩せたい人にとっての「神サプリ」などのように宣伝されていたとしても、本当に十分な効果を得ようとすれば、まずは使用者の方から先に食生活や運動習慣について改善していくことが大切です。
「ユーグレナを飲んでいるから勝手に痩せるだろう」というのではなく、「ユーグレナは、自らダイエットをしようと努力する人を応援してくれる」という意識を忘れないようにしましょう。
ユーグレナサプリに対する意見の中には、「高い」とか「コスパが悪い」というものがあり、これは「ユーグレナには効果がある」と考えている人にとっても無関係ではなさそうです。
しかし、これは見方を変えると、「やけに安いユーグレナサプリには、何らかの“裏”があるのかも知れない」という風にも言えるでしょう。
例えば、2種類の「5,000円のユーグレナサプリ」があるとしても、両者に含まれている「1回分のユーグレナの量」まで同じだとは限りません。メーカーによっては、ユーグレナだけでなく、他の有効成分を独自に配合している商品もありますし、また“飲みやすさ”を重視して味や匂いの調整をしている場合もあるでしょう。これについては、そもそも目的が異なる為、一概にどのようなものが良いとか悪いとか決めつけることは出来ません。
とは言えそうなると、同じように毎日1回ずつサプリを飲んでいたとしても、異なるメーカーの商品を使っている人では、得られる効果も違って当然です。ましてや、摂取量と効果などに関しては個人差も大きく、実感できる内容もそれぞれ異なってくるでしょう。
もちろん、サプリの価格が安いからといって、必ずしもその効果が期待できないというわけでもありません。
各メーカーが出しているユーグレナサプリの多くでは、1粒当たりや1日分当たりのサプリに含まれているユーグレナ量が記載されていたり、またホームページなどで成分について詳しく紹介されていたりします。大切なことは、自分が何を飲んでいるのか、しっかりと確かめて把握しておく意識です。
動物と植物の“境目”とも言われるユーグレナは、言い方を変えれば「動物と植物のメリットを兼ね備えている微生物」です。
ユーグレナは“植物のよう”に、光合成や代謝によって自らの生存に必要な栄養分を作り出しますが、それはつまり“動物として”生きる為に欠かせない成分だとも言えるでしょう。要するに、ユーグレナには同じく動物である「人間」にとって必要とされるビタミンや、必須アミノ酸、必須脂肪酸などが総合的に含有されているのです。しかも、ユーグレナは植物細胞と違って難消化性の「細胞壁」を持たない為、人の体内でも消化されやすく、栄養の吸収率も高いと言えます。
しっかりと水分補給を行わなければ、便通改善の効果も半減しますし、せっかく吸収した栄養分も体内に行き渡りません。
ユーグレナに含まれるパラミロンが余分な油脂などを吸着する為には、そもそもそれらが消化・吸収される時に、パラミロンが腸内で存在している必要があります。その為、ダイエット効果を期待するなら「食事の少し前」に飲んでおくべきです。
ただし、栄養吸収の機能は食事をした際の消化活動によって活性化されるので、ユーグレナに栄養補助としての効果を期待しているのであれば、食事と一緒に摂取することも良いでしょう。また、栄養補給の時間帯は朝が最も適しているとされているので、朝食時に飲むことがベストかも知れません。
ユーグレナを摂取していても、暴飲暴食をすれば元の木阿弥です。しかし、人は食事をしないようになると、体に栄養を吸収する機能自体を低下させてしまいます。その為、サプリだけを飲んでまともな食事をしないままでいると、結果的に栄養分が不足しやすい体を作ることになります。食べ過ぎはNGですが、規則正しい食生活は大切です。
ユーグレナは自然に存在している微生物であり、そこに含まれている栄養分も本物です。しかしそれをサプリとして飲んだ時の効果や働きは、その飲み方やライフスタイルによっても変化します。サプリはあくまでもサポートだと理解して、自らの健康習慣を改善させる意識こそが重要です。
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