ユーグレナ(ミドリムシ)に含まれる成分の一つとして、ここではメチオニンについて解説します。
メチオニンとは、人間の体を構成しているアミノ酸の一つ。不足すると、肝機能の低下やアレルギー症状の誘発など、様々な健康障害が生じる恐れがあります。栄養バランスの取れた一般的な食事をしている人であればメチオニン不足に陥る心配はまずありませんが、ダイエット中の人や食生活が乱れがちな人は、サプリメントを補助的に利用してメチオニンを補給する必要があるかも知れません。
人体を構成する主要成分であるタンパク質は、20種類のアミノ酸の様々な組み合わせによって成り立っています。これら20種類のアミノ酸のうち、体内で自然に生成されるタイプのものを「非必須アミノ酸」、外部からの摂取が不可欠なものを「必須アミノ酸」と言いますが、メチオニンは後者の「必須アミノ酸」に分類される成分です。よって食事等から適切な量を摂取しない限りは、体に様々な健康障害が生じてしまいます。
メチオニンの1日も目標摂取量は、決して多くはありません。3食のメニューの中に、鶏肉や魚などの動物性タンパク質を適量だけ摂り入れれば、メチオニン不足に陥ることはないでしょう。
なお、健康な体を維持する上で不可欠となるメチオニンですが、その一方で、過剰摂取をした場合には、嘔吐やめまい、悪心、低血圧等の健康被害を招くことがある成分でもあります。特に肝機能障害を持つ人においては、メチオニンを過剰に摂ることによって症状が悪化する恐れがあるため、サプリメント等で摂取をする際には、前もって主治医に相談しておくようにしましょう。
ラットを使用した実験などからも、すでにメチオニンの効果・効能は数多く発見済み。以下では、それら効果・効能の中から代表的なものをピックアップしてご紹介します。
メチオニンには、肝臓に残留している老廃物や毒素の排出を促す作用があります。この作用に関連して血中コレステロールが燃焼されやすくなるため、脂肪肝などの生活習慣病の予防効果も期待できるでしょう。
ただし、メチオニンを過剰摂取した場合には、逆に血中コレステロール値を上昇させるとの報告もあります。メチオニン不足に注意するとともに、過剰摂取にも注意しなければなりません。
うつ症状を改善させる物質は、セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなど。メチオニンはこれら物質の構成要素となるため、摂取することでうつ症状の改善い繋がると言われています。しかも、メチオニンによるうつ症状改善効果には即効性がある、とも言われています。
アレルゲンが体内に侵入すると、細胞からヒスタミンという物質が過剰に放出されてしまう体質の人がいます(アレルギー体質)。メチオニンにはヒスタミンの放出を抑制する働きがあるため、アレルギー症状の緩和に効果があるとされています。
メチオニンには、抗酸化物質として知られるセレンを運ぶ働きがあります。全身にセレンが行きわたることにより細胞の酸化が抑えられ、老化防止効果につながるとされています。
髪は、18種類のアミノ酸が結合して作られる組織。メチオニンは、この18種類のアミノ酸の1つに含まれています。メチオニンが欠乏すると髪が不健康となり、髪のツヤやハリが低下。中には、メチオニン欠乏によって脱毛症状を起こす人もいると言われています。
肉、魚、野菜などのバランスの取れた食生活を送ることが、メチオニンを適切に摂取するための大前提。メチオニンの1日の摂取必要量は、60kgの成人において600mgとされていますが、これは鶏の胸肉50gに相当する量です。健全な食生活を送る限り、メチオニン欠乏に至る可能性は低いでしょう。
ただし、ダイエット中で肉類・魚介類などの動物性タンパク質を控えている人や、極端な菜食主義を採る人などにおいては、メチオニン欠乏症に陥るリスクはあります。
食生活の見直しを行なうとともに、サプリメントなども利用してメチオニン不足に陥らないようにしましょう。
文部科学省「食品成分データベース」を参照し、メチオニンを豊富に含む一般的な食品をピックアップします。
鶏卵にはメチオニンが豊富に含まれています。卵黄よりも卵白に多く含有されます。
牛乳、チーズ、ヨーグルトなど、乳類に含まれるタンパク質の中にメチオニンが豊富です。
サバ、タラ、カツオ、イワシ、トビウオ、ニシン、カズノコ、イカ、ホタテ、アジ、サケなど、魚介類全般に豊富なメチオニンが含まれています。
鶏の胸肉を筆頭に、豚肉や牛肉には多くのメチオニンが含まれています。特に、脂分の少ない赤身におけるメチオニン含有量が多めです。
納豆、豆腐、豆乳、湯葉など、大豆食品に含まれるタンパク質にはメチオニンが多く含まれています。
参考資料
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